KKP#004 LENS(2004)
※ネタバレの内容を含みます。ご注意ください。
鑑賞日記についての諸注意


「天城といいます。天井の天に城と書いて天城」

KKP屈指の名作。
ミステリー好きには物足りない人もいたようだけど、基本的に舞台は一回こっきりしか見ない事を考えればこれで十分。それよりも軽快な対話とユニークな謎解きの方法で楽しませてくれる。

小林賢太郎は、今まではプロデュース公演という事で遠慮していたのが、今回椎名林檎の作品からのスピンオフということで解禁したって感じかな? 主役が一番格好良くないといけないのに(観客からも、探偵は謎を解くというのを求められるわけだし)、素直にその場面に持っていかず、「さぁそろそろ…」と言いながら逃げたり推理が外れてたりといったシーンの挿入の方法が巧い。おかげで、最後の謎解きが嫌みなく見れた。

さて、前回『PAPER RUNNER』で適材適所の話をしたが、今回の話をそれに当てはめてみる。
まずは探偵、謎を解く人。この人がいないと始まらない。天城茎太郎(小林賢太郎)がそれだ。
次に依頼者。これはこの話では警部である駒形蓮司(大森南朋)が担当している。
そして犯人である犬飼梅衛門(犬飼若浩)。

基本的にこの三人がいれば「謎解き」という物語は完成する。
後の二人はトリックスターだ。しかしもちろん重要な役が割り当てられている。

この手の「限られた人間しか出てこない謎解き劇」では、一人一人が何らかの理由で疑われるシーンが必要となってくる。
お互いを疑い、疑われ…というシーンは、登場人物に遺恨を残す。しかし、この中で唯一の部外者である車夫の愛宕屋駿菊(西田征史)がそのシーンを一手に担う事で、お互いが疑心暗鬼に陥る嫌なシーンは回避されている。

これだけでは春日桜太(久ヶ沢徹)の役目はない。しかし、彼は最後に重要な台詞が用意されている。

「こいつが何を盗んだ。どんな詐欺でいくら儲けた。何を凶器に誰をどうした。俺には逮捕する理由がわからん!」

警部である駒形も行きずりの天城も駿菊も、もちろん犬飼自身も「犯人を逮捕しない」という結論に達する必然がない。
それが出来るのは、犬飼と2週間を過ごし、人間味のある(作中では「バカ」で表現されていたが…)警官である春日巡査だけなのだ。

うーんやはり巧く出来ている。前作から一段飛ばしに質が上がった気がする。

***************************************
[PR]
by choyushi | 2015-02-06 17:28 | 作品鑑賞


<< KKP#005 TAKEOFF... KKP#003 PAPER R... >>