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人食い猫という言葉
先日、埼玉県内の特別養護老人ホームで認知症の寝たきり女性(88)が、右足の指を5本とも第一関節まで食いちぎられた、というニュースがありました。
タイトルの人食い猫という言葉といい、“ホームは「約30センチ開いたガラス戸から侵入した猫の仕業で、指も猫が食べた」と説明”という記述といい、すでに猫が犯人だと断定されたような言い分でした。
しかし、猫好きとしては信じたくないような事件。
なまじ猫がやったとしても、はて、老人の足?? 本当に腹を空かせて食べるなら、肉食獣の性質として、まず腹、内臓のような、柔らかいところから食べるのが普通。ちょっと考えれば疑問だらけのこの事件に、専門家ならずとも頭をひねるのは道理でしょう。
『Mana's blog』の マナさんが、この疑問をきちんと投げかけて下さいました。
詳しい内容はリンク先を見て頂くとわかりますが(ぜひ見て下さい)、警察、老人ホーム共に「猫が犯人とは言っていない」という言葉。どういうこと!?
つまりは、メディアがこの事件に、その場にいて分かりやすく、猟奇的で面白みのある“人食い猫”を犯人に仕立て上げたわけです。
もちろんこの事件、「猫が犯人ではない」と言い切る事は出来ません。しかし、冤罪かもしれない事件を(最悪、人間の仕業で猫に責任を擦り付けたかも知れない事件を)、興味本位で声高に取り上げ、事実の半分も記事にしない事により、要らぬ誤解を招いたのは事実です。
もっとも、この時点でメディアが早とちりをしてしまうのは仕方の無い事かもしれません。動物が食いちぎったらしい跡があり、その場に猫がいたなら、犯人かも知れないと思うのは仕方がないでしょう。
しかし、続報として詳しい内容を取り上げないメディアの姿勢には腹が立ちます。
ブログが最近人気があり、発言力が高いのは確かですが、所詮は個人の日記程度のものに対し、記事はそれがどんなにいい加減なものであったとしても、人々にかなりの影響を与えるものです。それを考えない記者が多すぎる。いや、仮にそういう記者が1万人に一人だったとしても、その一人のおかげで、他の善良な一万人の記者が同じような人種だと思われてしまいます。
メディアを操る人には、もっと責任と誇りを持って仕事をして欲しい。自分のしている事は起こった事件を事をただあげつらうだけではなくて(それだとブログや公開日記と何も変わらない)、社会を動かす力を持つのだという事をもっと自覚して欲しい。

今回の事件に関しては、猫が犯人にせよそうでないにせよ、事実をきちんと操作して欲しいと思います。そして出来れば続報を、最初の記事と同じくらい人々の目に届くように報道して欲しい。それがメディアの責任ってもんじゃないですか。

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【続報】
この事件を注目していた人はやはり少なくなかったようで、異論を唱えている人も多く出ています。
それは良いんだけど、ここでもまた「猫の仕業の可能性が高いとする警察の見解」と言っている。ちゃんと調べてる?
by choyushi | 2005-10-12 17:50 | ニュースに発言


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