いつか読書する日
私には大切な人がいます。

でも私の気持ちは絶対に知られてはならないのです。

どんなことがあっても悟られないようにすることは難しいことです。

しかし、その人の気持ちを確かめることが出来ないのはほんとうに辛いものです。


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今日はmifiko先輩に日本酒の会に誘われたので梅田で飲む事に。
なったのですが、せっかく市内まで出るのだからと、映画を見ていくことに。
大阪ではOS劇場でしか映っていない、緒方明監督、田中裕子主演の『いつか読書する日』を見てきました。Movie Walkerを何気なく見ているときに、この映画が評判が良く、追加上映されるほどだというので、最近見た映画が今ひとつぱっとしなかったことも手伝って(^^;)見てみることに。あ、あと主人公の大場美奈子の想い人が岸部一徳さんだったのも見たいと思ったきっかけ。なんか好きなんです、あの俳優さん。
ストーリーは
少女時代の恋を忘れられず、50歳を過ぎても独身のまま、槐多に思いを寄せる美奈子。一方、槐多も美奈子への思いを隠しながら、末期癌の妻、容子を看護する日々を送っていた。そんな折、ふたりの気持ちに気づいた容子はある決意をする。
というもの。とりあえず、これだけの情報を持って見に行きました。
あ、ネタバレあるかもしれないので、これから見るという人は読まないで下さいね。


劇場は3分の1ほど埋まっていました(朝10時上映)。ほとんど、って言うか私以外は全部おじさんおばさん、おじいさんおばあさんでした。鑑賞後も、やはりそれくらいの年齢層の物語だったかもしれない、と思いました。主人公たちがそうだから、というのもありますが、私のような若い人間が見ても(私の解釈力にもよりましょうが)、「頭で理解」できても「気持ちで解る」ことができない、という感じがします。
不思議なもので、20代なんていうのは、今がピークだと思ってしまっているんですよね。本当はあと何十年も行き続けなければ行けないのに、コレが最後だと思っていまう。だけど、50代の人って、今までの50年間を覚えているから、実はまだ先があって、今までと同じように苦楽を体験しなければならないと言う事を、“知ってしまっている”んですよね。そう、劇中の槐多と老人の会話がまさにそれで、50歳と言うのは折り返し地点でもなんでもなく、通過点なんですよねぇ……。その重さと長さを体験していない私では、やはりこの映画の深いところまで読み解く事は無理だと思いました。50歳になってみたら、良くも悪しくも感じる事は違っているでしょう。

この映画を見終わった後、なんだか全く見知らぬ他人たちの人生が垣間見えてくるような気がしてきた。電車に乗り合わせる人たちも、すれ違う通行人たちも、それぞれに人生を歩んで痛みを伴って生きているという至極当たり前でだけど全く意に介していなかった事が、すんなり私の中に入ってくるような感覚に陥ったのは、なんだろな、きっと作品の持つ“リアリティ”のおかげだったのだと思う。演出がどうとか、描き方がこうとかではなく、脇役たちが全く意味なく、それでいて必死に人生を生きている様が、演じる役者さんの名演を通じて、とてつもないリアリティを出していたからなのだと思います。
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by choyushi | 2005-10-10 09:57 | 特撮とぬいぐるみ | Comments(3)
Commented by chaotzu at 2005-10-10 14:49
TBありがとうございました。
おじさんの身にとっては素晴らしい映画のひと言でした。
たしかに、50代といっても、そっから先がけっこう長い
んでしょうね。そしてそれは若いうちからの生き方が
もろに反映してくるもんだと、自身痛感しております。
Commented by setunai_love at 2005-10-10 16:06
TBありがとうございました。
ほんとうに・・・ あなたのような若い方が観られてもわかりづらいかもしれませんね。
私でも30年というところまではちょっと考えられません。。。
50歳ならもう 女性として終わりつつある? なんて思ってしまうから。
人はみな自分が中心でものを考えるものなんだと
ココを読ませてもらってあらためて感じました。

なんということない人生を送っているかのように見える人も
それぞれ 波乱万丈の人生 なんだと 思います。

すべての時間は それぞれとても大切な そしてきらきらと輝く時間なのだと思います。
Commented by choyushi at 2005-10-10 18:17
> chaotzu 様
私は父が50になる前に亡くなったので、それ以上の人生と言うものにあまり関心がなかったんですが、そういう私にとっての空白の時間について考えさせられる作品でした。むしろ、これから先長い時間が用意されているような……その片鱗を見せてもらったような、そんな気になりました。
渡辺美佐子さんが二人に言って聞かせる「長生きしたらいろいろわかって面白い」というセリフが胸にきました。

>せつないびと様
50歳の気持ちになって感想を述べてみるのもいいかも……と思いましたが、やはり今の視線でストレートに感じた事を書くのが正しいと思いまして……。どんな作品にも言えることですが、この作品も50歳になってまた見てみたいですね。
また、見知らぬ他人がこれだけ身近に感じられる作品と言うのも、私には珍しい体験でした。


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