押井監督のシンゴジラ評を読む
9/7発売のTVブロス、楽しみにしてましたが無事「押井監督のシンゴジラ評」読めました(笑)

まー思ってた通りと言うか、思ってた以上に褒めてましたね。
本人も言ってましたが、押井監督が70点というのはかなりの高評価、っていうか、ぶっちゃけかなり気に入ってるってことですね(笑)

ただ残念なのが、やっぱり「じゃあマイナスの30点を補えばもっと面白くなったのか」というと、どれも首を傾げざるを得ない内容だったことですね。

押井監督がマイナスを付けた点は「監督が他分野に手を入れ過ぎ」「伊福部明の音楽がモノクロのまま」「オリジナリティがない」ってことでした。

「監督が他分野に手を入れ過ぎ」
これはまぁー、押井監督と庵野監督の「監督業」の意識の違い、そして作品に対する対峙の仕方の違いでしかないんじゃないか、って感じです。
押井監督は方々でも言ってるように、自らを「商業監督」と称し、監督であることを第一に考えている。
一方庵野監督は昔「自分は一生一クリエイター」と言っていたし、現在でもその基本理念は変わらないだろう。
つまり、監督でもありクリエイターでもある。自分の中に確固とした「答え」があって、それを形作るために労力をいとわない。

例えるなら、「ビーフシチューが食べたくて一流シェフにレシピを渡したら肉じゃがが出てきた」時に、どう対処するかにこの二人の違いが出ているんじゃないだろうか。
押井監督は、一流シェフが作った一流の肉じゃがなら、それはもう立派な完成品なのだと認める。庵野監督は、出来上がった肉じゃがに手を加えてなんとかビーフシチューを再現しようとする。
お客さんに「ビーフシチューを提供します」と言った場合、果たしてどちらの姿勢が正しいのだろうか。中途半端でもビーフシチューの体を成したものを提供するか、完成度の高い肉じゃがを出すか。
私はこれは、どちらも間違ってないと思う。ただ、作品に対する姿勢が違うだけだ。

ちょうど先日、『中川いさみのマンガ家再入門』で糸井重里氏が「映画監督は手でする仕事は何もしてない(けど表現者)」とういことを言っていたけど、逆に「どこまで手を出すか?」は監督によって違う、ただそれだけのこと。

次に「伊福部明の音楽がモノクロのまま」
これは…私は気にならなかったけど、まぁ押井監督は音楽に一家言あるひとだから言いたくなったのかな、と(笑)。
私は怪獣映画は興味なかったけど、伊福部明は好きでよく聞いてたから気にならなかったのかも。

しかし、例えばアニソンライブで生バンドであってもCDの音源通りに弾かないと「オリジナルと違う!」と文句を言われる、というから、その辺を考慮してモノクロ音源を使ったのかもしれない。
実際、膨大な時間と手間暇をかけて録ったオーケストラ音源を没にしたっていうくらいだから、ノリや思いつきじゃないと思う。

最後に「オリジナリティがない」だけど、これは押井監督も言ってる通り庵野監督にオリジナリティなんてないし、そんなの誰も(特にゴジラだと)望んでないし、それを入れたからって良くなるとは思えない。
押井監督は(これまた自分でも言ってる通り)イデオロギーありきの監督だからそういうのが好きなんだろうけど、むしろ今回のシンゴジラはそれがないからこそ良かった、というか、あれだけいろんな人が語れる映画になったと思う。
大人は自分の仕事に照らし合わせ、マニアは作中で語られなかった謎に言及し、腐女子は登場人物の日常に思いを馳せる…(笑)

そもそも、あれだけイデオロギーを排した作品ですら右からも左からもあれこれ言われてるのに、そんなもん入れ込んだ日にゃ…ねぇ?

つくづく、シンゴジラは「世界系(笑)」でなくて正解だったと思う。完璧に「分かる人、マニアにだけウケる内向的な作品」にせずに、エンターテイメントに終始した。ゴジラを世間一般にお返しした、素晴らしい作品だったと思う。





…さて、ここまで書いたけど、押井監督は以上のことを「分かってて言ってる感」は相当強い。
そもそも冒頭の「日本映画は漫画原作だからダメ」発言からして思いっきり自分のことを言ってる、自分で自分をこき下ろしてるわけで、それで最後の批判とのバランスを取ってるんだろう。
褒めてる部分なんてべた褒めに近い。本当は後半にあるような余計なことは言いたくなかったんじゃないだろうか。
あと、「宮崎駿と庵野監督の関係は祖父と孫」とあるけど、押井監督も庵野監督が大好きだというのが記事の端々から感じ取れるんだが気のせいか?
(押井監督はオタクが大嫌いで、その筆頭だと思ってた庵野監督が自分よりえげつない方法でオタクに喧嘩売ってるの見て好きになったんだろうなぁ)

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by choyushi | 2016-09-07 11:10 | 特撮とぬいぐるみ | Comments(0)


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