KKP#006 TRIUMPH(2010-12)
※ネタバレの内容を含みます。ご注意ください。
鑑賞日記についての諸注意

「トライアンフ!僕は君にも魔法をかけたぞ!」

コント + イリュージョン = コンティリュージョン だそうです。

この作品は賛否両論ですね。
そしてどれも理解出来ます。

でも「否」の意見のほとんどは、名作『TAKE OFF』の後だったという不幸が一番の原因な気がします。
あれと同じのを望むのは酷ってもんだ…。
あと、今回のお話は舞台的にも「絵本」のようなものだったので、大きなお友達には物足りなく映ったのかもしれない。『うるう』と同じ頃なら違和感なかったかも。

「説教臭い」という感想もありましたが、これから後のKKPはむしろそれが標準路線になっていってますね。
実際、良い事言ってると思います。
「生まれつき才能のある人や環境の整っている人だけが成功できるってあなた言ったわよね。
それ、はっきり言って違うから。確かにお金持ちでその上に大成功を収めている人はいるわ。
でもその人がそこにいるのは、恵まれていたからじゃない。その人が頑張ったからよ!」
「誰かに何かしてもらおうなんて思ってる奴は、誰にも何もしてやれない」
「結果が出るまでの時間は人によって違う。大事なのは、このひまわりが生きるのを止めなかったということだ」

ただなぁ…。
これはやっぱり小林賢太郎が女性の造形が苦手なのだと確信するところなんですが、森谷ふみさん演じるメイドさんの口が悪い。「お前」て。「貴方」かせめて「あんた」でしょ。カフカに対して色々指摘するのは良いんですが、「まず自分の口の聞き方どうにかしろ」と思ってしまいました。

さて、今回のお芝居の最大の特徴である「マジックショー」ですが。
芝居、コントに乗せてマジックをする。これはなかなか大変だと思います。
何故かというと、マジックショーはテンポが命だから。もたもたしてると「その間にネタを仕込んでるんでしょ?」とバレる。ネタは分からなくても、とにかく「種も仕掛けもあるんだろうな」と思われてしまう。マジックなんだから種も仕掛けもあるのは分かりきっているけれど、それでもなお「種も仕掛けもないように見える」のがマジックの醍醐味なのですから。
でも、じゃあ、マジックショーのテンポでお芝居をすれば良いかと言えばそういうわけでもない。早すぎれば今度は「芝居を把握」できなくなってしまうから。
ポツネンなどに見られたような、要所要所でポイントを縛った手品なら巧く出来たでしょう。でもきっと、もっと大きなイリュージョンを使ってみたかったんでしょうね。

そんなわけで、多くの人が指摘している「芝居としてもマジックショーとしても中途半端だった」のは一理あると思います。
でも、だ。今回の芝居を経験値として、いつかもっと完成度の高いコンティリュージョンを作り上げそうな気がする。小林賢太郎には、客にそう思わせる期待感がある。
つうか、今10作目を発表した後でこれを書いてるんですが、「ここはもっとこうだったら良いのに」とか「これってこうならなかったのかな?」というのを、後の作品でちゃんとやってる事が多々あるんですよね。実際、書割道楽は次の『ロールシャッハ』に活かされていたと思う。

観客がこれは芝居か?コントか?とやってる間に、小林賢太郎はさっさと次のステージに行ってしまうのではないか。
物語の中では小林賢太郎演じるカフカが「何やっても成果が出るのが遅すぎる」という設定でしたが、取り残されているのは我々かもしれませんよ。

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作中の呪文があったので健忘録に載せておきます。

スサーラ パガード カゥリーフ
ララメジチ リカスブテーィラッ
ビクビイ デ クィスバ
ピビアデリィ ドブゥーシャ
トライアンフ!

メリー・ポピンズに出てくる呪文
「スーパーカリフラジリスティックイクスピアリドゥーシャス」
と、シンデレラに出てくる呪文
「サラガドゥーラメチカブーラビビディバビディブー」
を合体させたものだそうです。

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by choyushi | 2015-02-13 15:09 | 作品鑑賞 | Comments(0)


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