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こういう広告の方法って…
マンホールのある電車が名古屋を走っていた

こういう広告は、広告業をやっている者からしたら一言、
「うらやましい……!」
人と違う事をする事自体勇気がいる事だし、リスクも大きいものだが、あえて冒険をする事や、そしてそれが達成された時の喜びと言うものは何ものにも堪え難い。広告業と言うクリエイティブな仕事をしていたら、一度はこういった奇抜なものを手掛けてみたいと思うものではなかろうか。
しかし、それができないのもまた事実。なぜなら、自分達の目の前には常に依頼主存在があるから。広告を作るものが一般のお客さんに何かアピールしたいと思っても、世に出る前に依頼主のチェックが入る。これは当たり前。お金を出してもらって仕事を引き受けている以上、クライアントの意向に沿ったものを仕上げるのは当然だ。
だから、こういうのを作りたいと思ったらまずクライアントの希望や理解が必要になる。
実際、希望はよく出てくる。「他社とは違ったものを作ってくれ」「上品な
チラシを作ってくれ」というのはよく聞く台詞。こちらも「よしっ」と思って仕事をあげるが、たいてい2度目のチェックで「やっぱりハデ目でいってくれ」と言われる事がほとんどだ。
商品名と価格を大きく載せて、赤色でど真ん中に、背景も黄色で目を曵くような……チカチカ、バリバリのチラシの出来上がり。
どんなにデザイン的に完璧なものでも、クライアントが「自社の商品売れる」と思うような物でなければそれは没である。「これはすごい」と思うようなデザインが、クライアントの一言で泣く泣くお蔵入りになっていく姿を嫌と言う程見てきた。もちろん私も体験してきた。

ナイキやユニクロの広告を手掛けるジョン・ジェイ氏は「広告を見る人の知性を尊重する事が大事」と言っていたが、そうはできないのが現状。というか、依頼主がそれをさせてくれない。できるだけ適格に商品を紹介するために、できるだけ自社の商品が目立つように、できるだけ分かりやすいように、チラシを作ろうとする。実際は目の曵くポイント一つに絞れば、その方がかえって目立つし説得力があるにも関わらず。見る人が少し頭をひねる必要のあるチラシよりも、何も考えなくても商品が目に入ってくるチラシの方を好むのだ。多分、そういうチラシは目に入っても頭には入らないと思うのだが。
「チラシで売る」事を目的とした人も少なくない。チラシに商品の情報を事細かに入れ込もうとするクライアント。「営業に仕事させろよ」とため息まじり、冗談まじりにこぼす事もしばしば。

私の手掛けるチラシの多くは新聞折り込みだから、多くの折り込みチラシの中から手にとってじっくり読んでもらうのを目的とする。そうすると、おのずからそういう広告が好まれるのも無理はない。しかし、電車の吊り広告を見てうらやましく思う事が多々ある。分かりやすい内容。インパクトのあるデザイン。たまにはこういうのも作ってみたいよ。
by choyushi | 2005-04-12 13:53 | 広告業とmacの話


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